魔法少女まどか☆マギカ(静雄夢)
ポポロクロイス物語2(静雄夢)※津波を連想させるシーンがあります。注意してください。
ヴァルキリープロファイル2 -シルメリア-(臨也夢)
コードギアス 反逆のルルーシュ(正臣夢)
・魔法少女まどか☆マギカ 第10話「もう誰にも頼らない」
まどか→静雄 ほむら→
「俺達も……もう、おしまい……だな」
静雄の言葉に、はゆっくりと頷いた。
二人のソウルジェムは黒く濁っている。ワルプルギスの夜を倒すのに魔力を使い過ぎたのだ。このまま放置すると、二人は確実に魔王と魔女になってしまう。助かる術はグリーフシードでソウルジェムの濁りを綺麗にする事なのだが――。
「グリーフシードは……?」
隣で倒れている静雄に問いかけてみるが、彼はゆっくりと顔を空に向け、首を横に降った。
「そっか……」
は目を瞑った。
「……ねぇ」
「……ん?」
「わたし達、このまま二人で……怪物になって、こんな世界、何もかもめちゃくちゃにしちゃおっか……」
どうして、こうなってしまうのだろうか。どれだけ願っても、どれだけ求めても、この世界の、静雄の未来は変わらない。が静雄と共に生きる未来を願っても、彼は死んでしまう。いなくなってしまう。そうならないように動いても、静雄はこの世界からいなくなってしまう。
それならば、こんな世界、めちゃくちゃにしてしまおう。
濁ったソウルジェム。もうすぐ魔王と魔女になる。魔王と魔女になった自分達なら、きっとこの世界を壊せる。
「嫌な事も、悲しい事も、全部無かった事にしちゃうぐらい、壊して……壊して……壊しまくって……」
「……」
「それはそれで、良いと思わない?」
涙が溢れた。
本当は、壊したくない。めちゃくちゃにしたくない。魔女に、なりたくない。
言葉ではそう言っても、本当は、この世界で静雄と共に生きたかった。一緒に毎日を過ごしたかった。
「……」
静雄はある物を取り出し、のソウルジェムに近づけた。
「……な、何で!」
のソウルジェムから徐々に濁りが消える。目を丸くして驚くに、静雄は痛む身体をの方に向け、微笑んだ。
「ごめんな、さっきのは……嘘だ。一つだけ、取っておいた」
「そんな……! 何で、何でわたしに!」
グリーフシードを持つ静雄の手を握る。持っていたのなら、どうして自分で使わないのか。そう言いたげな表情を浮かべるに、静雄は愛おしそうに目を細めた。
「俺には出来ねぇけどさ、に出来る事があるだろ。だから……に、やってほしい事があるんだ」
「え……?」
「、お前、過去に戻れるんだよな? こんな終わり方にならねぇように、歴史を変えられるって、言ってたよな?」
「うんっ……」
声が震えた。嗚咽を漏らさぬようが唇を噛み締めていると、今まで痛みを堪えて笑みを浮かべていた静雄の瞳から涙が零れた。それでも、に向ける表情は笑顔だった。
「キュゥべえに騙される前の、馬鹿な俺を、助けてやってくれねぇかな……」
のソウルジェムから濁りが消えた。グリーフシードを持つ静雄の手から少しだけ力が抜ける。もう、静雄の最期は近い。それを悟ったは、静雄の手を強く握った。
「約束する! 絶対、静雄さんを救ってみせる……! 何度繰り返すことになっても、わたし、静雄さんを護ってみせる……!」
「……よかった」
静雄は安堵の息を漏らすが、身体に今までの痛みとは比べ物にならない程の痛みが走る。
濁ったソウルジェムが、グリーフシードへと変わろうとしているのだ。それは、静雄が魔王になろうとしている事を知らせていた。
「やだ、やだよ……!」
苦しむ静雄に、は起き上がり、うろたえた。どうにかして助けてやりたい。だが、もうどうする事も出来ない。どうして自分はこうも役立たずなのだろうかと涙を流していると、静雄はに話しかけた。
「もう一つ……頼んで、いいか?」
「……う、うん!」
「俺……魔王には、なりたく、ない」
「……うん」
「嫌な事も、悲しい事も、あった。でもな、護りたいものが、この世界にはたくさん、あったんだ」
そう言って、静雄は苦しげに笑顔を浮かべ、空いている手での頬に触れる。
「特に、お前は、俺にとって、とても、大切で、大切で……! 俺が護って、やりたかったのに、ごめん……な」
「……っ! 静雄さんっ、好きだよ……。わたし、静雄さんの事、好き……! 愛してるよ……!」
「ははっ……。、やっと、言ってくれたな……」
嬉しいよ、と静雄は精一杯の力で濁ったソウルジェムを持った手を上げた。壊してほしいと、そう言っているのだ。それを感じ取ったは、表情を歪めながら魔法少女へと姿を変える。
左手についた盾からゆっくりと拳銃を取り出し、静雄のソウルジェムに銃口を向けた。
ソウルジェムを壊してしまえば、静雄は死んでしまう。だが、このままにすると、彼は魔王になってしまう。それは、静雄の望みでは無い。
今のに出来るのは、静雄の望みを叶える事。
「……ありがとな」
銃声が響き渡った後、そこに人の姿は無かった。
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・ポポロクロイス物語2
ピエトロ→静雄 ナルシア→
海水は、そこまで来ていた。
「くそぉ……! 何で、俺の力でも無理なんだよ!」
「もういいよ、もういいから……! こんな事続けてたら、静雄さんが……!」
また穴が空き、海水が入って来る。このままここにいれば海水は二人をのみこんでしまうだろう。そして、もしそうなってしまえば、は――。
そこまで考えて、静雄はぞっとした。森の魔女であるは、海水に触れると泡となって消えてしまうのだ。
「! お前は高い所に行け!」
「う、うん……!」
走って行くの姿を見てから、静雄は塞がってしまった出入り口を見る。先程から静雄の力をもってしても開かない扉。
「……お前だけは……」
再び体当たりを試みるが、びくともしない。舌打ちをして、静雄は助走をつけて体当たりをしようと走って行く。すると、後ろから道が無くなって行く。その様子を見ていたは、気付かないまま走り続ける静雄の名を叫んだ。その声に後ろを振り向いた静雄は道が無くなっている事に驚き、慌ててがいるところに飛び込んだ。
もうあそこには戻れないと、静雄はの手を引いてもっと高い所へと上って行く。海水は、徐々に近づいて来ている。一番高い所へ着くと、辺りはもう海水にのまれていた。
その光景に、二人は息を呑むことしか出来なかった。静雄はここよりも高い所は無いかと探すが、どこにも見つからない。
「どうしたらいいんだよ……!」
どうしたら、と静雄は動き回って探す。立ち止まって考えると、嫌な事しか思い浮かばないのだ。
「静雄さん、もう、いいよ。……何となく、こうなる予感はしてたんだ」
「なっ……! 何言ってんだ!」
の言葉に、静雄は言葉を荒げた。
「……一緒に帰るって、約束したじゃねぇか。諦めんなよ!」
「そう、だね……ごめんね、静雄さん」
そのとき、の足元に海水が広がった。たくさんの穴から注ぎこまれる海水は、とうとうここまでやってきたのだ。小さな悲鳴を上げては後ろへ下がる。来ないでほしいと願っても、それは無理な願い。
静雄はの元へ駆け寄り、彼女を抱き上げた。海水に触れさせないようにと、高く、高く。は静雄の頬にそっと手を添えた。
「静雄さん……」
を海水に触れさせないようにと爪先立ちをする静雄。その姿を見て、の目には涙が溢れた。
「でも良かった。わたしが海水に触れれば、泡になる。……静雄さんはその泡で呼吸して、上まで、上がってね」
「…………何言ってんだよ……! そんなの、認めねぇからな!」
一緒に帰ると約束したではないかと、静雄は涙を流した。共に帰らなければ、意味が無い。ここから脱出したとき、も一緒でなければ、意味が無いのだ。
「最期まで、傍にいられて……わたし、幸せだよ……。ありがとう……!」
は静雄に抱きついた。
「静雄さん……約束、破っちゃって……ごめんなさい……!」
次の瞬間、周りの壁が崩れ、海水が一気に入って来た。その海水は二人をのみこみ、引き離す。
「!」
静雄はの元まで泳いでいくが、彼女は泡となりつつあった。何とかしようにも、静雄自身も息が続かない。意識が朦朧とし、静雄はの方に倒れ込む。
は静雄を抱き締めた。せめて、静雄を助けたい。
――静雄さん……。
ゆっくりと目を瞑った。
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・ヴァルキリープロファイル2 -シルメリア-
ルーファス→臨也 アリーシャ→
「少し、休みませんか?」
「……そうだね」
やはり、とは思った。いつもの臨也では無いのだ。声にも元気が無い。気になったは臨也の隣に座った。
「どうか、しました? ずっと黙ってますけど……」
の問いに、臨也は先程の出来事を思い出した。神族に追われる臨也達を助けてくれた、あのエルフの女性の事だ。二人を逃す為に、彼女は神族を引きつけてくれた。
ハーフエルフで、オーディンの器でもある臨也は、エルフ達から良い扱いを受けた事が無い。
だが、あのエルフだけは違った。
何故自分に優しく接してくれたのだろうか。何故、自分達の為に、助けてくれたのだろうか。彼女は、命をかけてくれた。最後のあの優しい眼差しが、臨也の心を締めつける。
しかし、には言えない。彼女がどうなったのか。臨也は首を横に振った。
「何て言うかさ、こんな景色をこの目で見られる日が来るなんて、まだ信じられないんだよね」
「そうですよね……」
「……ちゃんのお陰だよ」
「わ、わたしこそ」
は左手を右手に重ねた。左手の薬指には臨也の指輪、ミュリンの指輪がはめられている。
「ここにこうしていられるのは、全部臨也さんのお陰……」
「捨てちゃえば? そんな物」
「え?」
「アスガルドには永遠の時が流れてるんだよ? 齢を取る事が無いから、外しても不死者になる心配は無いんだ」
だが、は首を横に振った。
「いいんです」
「どうして?」
「これは、私の……幸運のお守り」
そう言って、は指輪はめたままを口元へ持っていき、唇で軽く触れた。そして、臨也に指輪をはめた手を見せる。一連の流れを見ていた臨也は、珍しく頬を赤く染めていた。
「……似合ってないと思うけどね。ぶかぶかだし」
「え、そうですか?」
その反応が可愛くて、はもう一度手を臨也の前に出す。恥ずかしくて見ていられないと、臨也は顔を背け、一度咳払いをした。
「……俺は、このまま頂上を目指すよ。ちゃんは、ヴァルハラを目指すんだ」
臨也は立ち上がり、に背を向けた。
「ここで別れるんですか!?」
「オーディンは馬鹿じゃない。俺達の動きに気付いていない訳が無い。……この先、必ず潰しに来る」
「だったら尚更……!」
一緒に、と続けようとしたが、臨也に止められてしまう。の両肩に手を置き、立ち上がろうとした彼女を再び座らせた。
「巻き添えにしたくないんだよ」
「でも……!」
「俺は、殺されても構わないと思ってる。寧ろ、本望だね。あんな奴の器になるぐらいなら、殺されたほうがマシさ。でも……ちゃんは違うだろ?」
そう、には人間界に必要な『ドラゴンオーブ』を取り返す大きな仕事が残っている。
「そんな、わたし、独りじゃ……」
臨也はを置いてそこから離れようとする。
離れたくない。一緒に、いたい。はぎゅっと手を握り締め、去ろうとする臨也を呼びとめた。
「わたし、臨也さんに賭けてみたいんです! 臨也さんが、神になるのを見届けたい……」
「……」
「その後でオーブを取り返しに行くんじゃ……駄目?」
我ながら、恥ずかしい事を言っていると思う。臨也の反応が気になるが、彼の顔を見る事が出来ない。
「……わかったよ。ちゃんと見てて」
臨也はの目の前に手を差し出した。その手にが戸惑っていると、臨也は笑みを浮かべた。はおそるおそる差し出された手に自分の手を重ねる。
強く握られる手。この先何があろうと、この手だけは離さない。は再び臨也と歩き出した。
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・コードギアス 反逆のルルーシュ
スザク→正臣 ユーフェミア→
何故こうなったのだろうか。彼女はただ、幸せな世界を作りたかっただけなのに。
日本人を殺せと、何故彼女は命じたのか。
正臣には信じられなかった。何故、何故あんな事を。から受け取った騎士の証を握り締め、正臣は苦しげに瞳を閉じた。
「……正臣、君?」
「……っ! ……!」
話しやすいようにと、狩沢がの酸素マスクを外した。そのあと、遊馬崎の背中を軽く押し、二人で部屋を出る。正臣に気を利かしたのだろう。
二人が部屋から出たのを確認してから、正臣はおそるおそる口を開いた。
「……。教えてくれないか? 何であんな命令を……」
「命令……? 何の事……」
何も知らないと言いたげなに、正臣は驚いた。
「そんな事より……正臣君は、日本人、だよね……?」
「え? あ、あぁ、そうだけど……」
そのとき、の表情が歪む。痛みが彼女を襲っているのかと正臣は慌てたが、の様子はどこかおかしかった。
「違う……!」
「どうしたんだ?」
「駄目っ……! 違うっ……そんな事、考えちゃ、いけない……!」
ぎゅっと目を瞑ったあと、は正臣の名を呼んだ。
「ん……?」
「式典は……日本は、どうなった……?」
「……。覚えて、ないのか……」
「日本人の皆さんは、喜んで、くれた?」
身体が震えた。は、本当に何も覚えていない。うまくいったのか、喜んでくれたのか。それが知りたくて、不安そうな目で正臣を見つめている。
「わたしは、うまく、出来たかな?」
正臣の瞳に涙が浮かび、頬を伝った。
行政特区日本は、うまくいかなかった。日本人達はに怒りと恨みしか感じていないだろう。いや、そんな生易しい言葉で済まないはずだ。
だが、正直に話す事など出来ない。正臣はぐっと握り拳を作った。
「……。行政特区は……」
正臣の声に、は失敗したのかと表情を歪める。
「大成功だ! あいつら、みーんな喜んでたよ、日本に!」
「本当……? 良かったぁ……」
安堵の息を漏らすだが、ある異変に気付いた。
「おかしいな……。正臣君の、顔……見え、ない……」
「……っ!」
正臣は息を呑んだ。もう、彼女の命は消えかかっている。そんな、と口元を引き攣らせていると、はゆるゆると手を差し出した。今にも力が抜けそうなその手を、正臣は慌てて握り締める。まだ彼女はここにいるのに。生きているのに。握ったの手は、冷たかった。
「学校……行ってね。わたし、途中で……やめちゃった、から……」
「今からでも行けるさ。あぁ、そうだ。一緒に俺が通ってる学校に行こう! めちゃくちゃ良い奴らがいるんだ! と……っ」
「わたしの、分まで……ね」
「駄目だ! ! 駄目だ!」
の目が、徐々に閉じられていく。
「正臣君……あなたに、逢え、て……」
するりと手が離れた。
部屋に響き渡る機械音。慌てて入って来る医者達。
「嘘だろ……。なぁ、嘘だって言ってくれよ! なぁ! !」
地面に落ちる騎士の証。
彼女が微笑んでくれる事は、もう無い。
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